美女好きがピルロユーヴェを考察してみる(前編)
お久しぶりです。P.OCOTINGでございます。
久々の美女活です。
今回はシーズン序盤戦の試合内容や選手、監督のコメントからピルロユーヴェの目指すサッカーとその狙い、各選手の役割と適性に関する考察を2回に分けて投稿したいと思います。
1. ピルロの目指すサッカー編(前編)
2. 各選手の役割と適正(後編)
今更感の話もあり長文にもなりますが、お付き合い頂ければ幸いです。
ピルロの目指すサッカー
理想像
まずは新監督の目指すサッカー、概要のおさらいをしてみます。
就任当初から、「ポジショナルプレー」「5レーン」「ボールを失った際の即時奪回」などキーワードが出回っており、大雑把な言い方をすれば”攻撃的かつ主体的なサッカーで相手陣内でプレーし多くの得点チャンスを作るサッカー”を標榜していると言えるでしょう。
特に攻撃時に最前線の5レーンを一人ずつ埋める攻撃的なサッカーを理想としています。
ピルロユーヴェの狙い
それでは"ポジショナルプレー"や"5レーン"のアイディアを導入すると言われる新生ユーヴェの狙いはなんでしょうか。
それは「クリスティアーノ・ロナウドの得点力の最大化」でしょう。
しかし言うは易く行うは難し。
これまで750回も相手ゴールネットを揺らした世界最高のゴールゲッターを獲得することに成功した老貴婦人ですが、特殊なプレースタイル故に前任者のアッレグリもサッリも最適解を見つけるには至りませんでした。
攻守のバランスを重視するリアリストのアッレグリはロナウドと守備のバランスに頭を悩ませ、11人の規定された細かいポジショニングにより美しい連携を見せるサッカーを志向するサッリは多動的なロナウドを扱いきれず、最終的に両者ともロナウドの活用を最優先とするクラブと袂を分つことになりました。
その様な中、選手として9連覇の礎を築き今季からベンチで指揮を振るうピルロのチーム作りは「ロナウドが自由を感じ、かつPA内でシュートを打てるスペース、状況を作れること」から逆算したチーム作りに取り組んでいると言えます。
ユーヴェとポジショナルプレー
ピルロのチーム作りの話をする前に、新監督が掲げる"ポジショナルプレー"について少し触れたいと思います。(ただし、ポジショナルプレーは複雑すぎて説明は少し自信がありません)
欧州各クラブが取り組む"ポジショナルプレー"については監督によって解釈の仕方や具体的な表現方法、共通する真の目的は相手の急所とも言えるスペースで"フリーマン"を創出することです。
"フリーマン"とは相手のマーク、プレッシャーから解放され、スペースと時間が与えられる選手のことです。
ポジショナルプレーを昨今のフットボール界に流行させたペップグアルディオラはバルサではメッシ、バイエルンではロッベンやコスタ、シティではサネなどの個の能力が高い選手をフリーマンにする為の仕組みを作ってきたと言われてます。
コンテ時代のユーヴェにおいても当時はポジショナルプレーというワードこそ出てこなかったものの、ピルロやボヌッチの長短のパスを織り交ぜ相手の陣形を押し広げ、歪みを作り、攻撃時に4トップ化とも言える前線のポジショニングにより相手のDFラインの注意、ポジションを引きつけて、空いたスペースに二列目からフリーマンとしてビダルやマルキージオの走り込みを活かしたサッカーも実はポジショナルプレーの要素が随所に散りばめられていたと思います。
尚、昨シーズンまで監督を務めたサッリもポジショナルプレーの導入を目指しましたが、選手とのコミュニケーションに課題もあり最後まで選手を想い通りのポジションでコントロールすることができずに上手く機能する事はありませんでした。
そして影響を受けた監督にグアルディオラやコンテを挙げるピルロも配置により敵陣にスペースを作り出すポジショナルプレーのアイディアを用いてチームで最も個の能力が優れたロナウドがペナルティエリア内でフリーマンになる、相手の急所となるエリアにロナウドを走り込ませる仕組み作りに取り組んでいると思われます。
ロナウドの特殊なプレースタイル
さて本題に戻りつつ、その前にポルトガル代表スターの特殊なプレースタイルについても触れたいと思います。
彼の特殊なプレースタイルについて私見は次の通りです。
①ボディビルダー並みの肉体美の持ち主ではあるが、実はコンタクトプレーはそれほど好まない(特に相手を背負ったプレー)
②ボールに沢山触れたがり、自由に動き回る事を好む
③ペナルティエリア内、付近で相手DFの死角に入り込む抜群の動きの質、及び5〜10mの短距離でのアジリティを活かした走り込みや跳躍に強み
④もしくは相手との1対1から一瞬のキレで相手DFを交わすシュートも強み
⑤継続的な守備参加はしない(守備強度は期待できない)
上述の条件を言い換えると「純粋なWGの様にサイド固定は強みを発揮できず、純粋なCFの様に相手DFを背負うポストプレーや中央に留まりながら相手を引きつけ、味方にスペースを与えるプレーも好まない。ペナルティエリア内、付近の空きスペースに走り込ませることで得点力が最大化する選手」と言えます。
ロナウドを活かす為のスペース作り
それではどのようにロナウドを活かす為のスペースをペナルティエリア内、付近に作れるのでしょうか。
そこでポイントとなるのが、”奥行き”と”幅”です。
ピルロが攻撃時に3-2-5 とも言える前輪駆動ともシステムを採用する訳はここにあります。
奥行き作りにはCFとWG、中盤の選手が絶えずディフェンスラインの裏をつき相手DFラインを押し下げるプレーが欠かせません。
幅作りにはWBとWGが高い位置でサイドライン近くまでポジションを取ることで相手DFラインを横方向に間延びさせることが必要となります。
その後方で2ボランチや3バックは相手ファーストプレッシャーを引きつけながらボールを左右に散らし、隙を見て縦方向に楔のパスを入れたり、状況を見てポジションをあげて前線をサポートしたり、相手の陣形のバランスを崩すことが求められます。
ここはアッレグリの言う「閉まったドアから無理やり攻めるな」の考えが必要となります。
左右前後に相手を揺さぶり、相手の陣形、視野を乱れさせ、急所(スペース)を作り出す。
相手ゴール前にスペースさえ作り上げることができれば多彩なゴールパターンを持つロナウドに仕上げてもらうだけ、となります。
特に両サイドが相手陣内の深い位置からマイナスのクロスを上げる事が出来れば、DFはボールと相手を同一視野に入れる事がより難しく為、得点はより容易になるでしょう。
マドリー時代のロナウドにユーヴェがよくやられたパターンですね。
なお、マドリーではマルセロとカルバハルが幅を取り、ベンゼマが奥行きを作り出し、モドリッチやクロースがサイドチェンジやスルーパスを織り交ぜることで急所を作り出しロナウドが得点を取る為の下地作りをしていたのだと思います。(たぶん)
5レーンの活用
また攻撃時に"5レーン"の考えを導入することで自由なポジショニングを好むロナウドとの他の選手の関係性を整備しているのも特徴的です。
※5レーンとはピッチを縦に5分割した際にできる左ワイドレーン、左ハーフスペース、中央レーン、右ハーフスペース、右ワイドレーンの総称です。
攻撃時には両ワイドにWG(キエーザ)と攻め上がったSB(クアドラード)が幅を取り、中の3レーンをモラタ、ロナウド(ディバラ)、クルゼフスキ(ラムジー)で埋める形が基本形とはなりますが、同じレーンでのポジションの重複を避けるという原則に基づき、ロナウドのポジショニングに呼応する様に他4選手が別の4レーンを埋める手法をとっております。
またこの原則さえ守ればボランチの選手も前線に飛び込むことが許容されており、志向する理想はありながらも選手の特性を見ながらも調整を入れるバランスの良さも垣間見せております。
この様にあらかじめ決められたルールを作ることで、ロナウドのスペースを見つける眼、瞬時に相手を振り切る質の高い動き、自由で捕まえづらいポジショニングをより活かしていると言えます。
制約があるからこそ自由がある
というやつです。
尚、ロナウドの為のシステムと冒頭に書きましたが、ディバラやクルゼフスキ、ベルナルデスキ、キエーザなどの創造性あるアタッカーもこのシステムの利益を享受できるはずですが、中央で裏取りも出来、ポストプレーでも身体を張り、相手CBを引きつける事が出来るモラタは欠かせない存在となっております。
守備のフェーズについて
ピルロユーヴェでは敵陣では人につくマンツーマンを活かしたハイプレス、自陣深い位置に徹底した際はボールを基準にポジショニングを規定するゾーンディフェンスをベースとした4-4-2守備ブロックを守備の基本しております。
強度の違いはあれどアッレグリ時代の守り方と似ているかもしれません。
但し、自陣でも選手の特性によりマンツーマンに切り替える、相手の攻め込み具合によって5-3-2に変化するなど柔軟な対応が見られます。
これはウディネーゼなどで3バックシステムを採用して強固な守備を築き、今季からアシスタントコーチに就任した元OBのトゥドールの貢献があるかもしれません。
また前述の通りロナウドの積極的な守備参加には期待できない為、前線の2枚に組み込むのが彼にとってもチームにとっても一番負担が少ない方法と言えるでしょう。
今後の課題
開幕10試合ほどのセリエAですが、さすが対策のリーグと呼ばれるだけあり、老貴婦人対策で532を使用してサイドと中央の使いたいスペースを未然に埋めてくるチームが多くなって来ました。
サッリ政権下でも532の攻略に苦しんだ記憶がチラつきます。
一度引かれた532ブロックを崩すのは容易ではありませんが、サイドチェンジを上手く使い相手3センター横のスペースを突く事が大事になりそうです。
14/15のCL決勝では532で守るユーヴェでしたがメッシのサイドチェンジを起点に見事に崩されました。
あれが532攻略の一つの有効策と言えるでしょう。
また3バックの左右のCBやダブルボランチの攻め上がりなどでアクセントを付けることも必要となりそうです。
守備に関しては前線のプレッシング時に簡単に交わされ、中盤にできた空洞で相手が簡単に前を向くケースが散見され、ポゼッション時の守備の予防的マーキングやプレッシングに切り替えた際の2~3手先を読んだポジショニングが今後の改善点になります。
各選手の役割と特性について
後編では本日話した大枠、概要に基づき各選手の役割と特性について考察を落とし込んいきたいと思います。
本日の美女
さて前置きが長くなりましたが本題に移りたいと思います。
本日の美女は超のつくセレブモデルのKendal Jennerさん。
美女を見ると個の力の重要性を感じざるを得ませんね。
それではまた後編で会いましょう。
Forza Juve!
■参考文献
(1)結城康平、欧州サッカーの新解釈。ポジショナルフットボールのプレーのすべて(2019)
(2)schumpeter、footballista 2020年9月号「目指すのはポジショナルプレー。論文から読み解くピルロのサッカー観。
(3)片野道郎、footballista 2020年9月号「最新トレンドの詰め合わせ。早くも明らかになった“ピルロのユべントス”の方向性」
(4)結城康平、foorballista 戦術用語辞典「ポジショナルプレー」
(5)ジェホ、白黒と共に(URL:https://note.com/azurijeho)
以上