Grazie di cuore, Principino
こんばんは。おこたんです。
Grazie di cuore , Principino.
心からありがとう、王子様。
クラウディオ・マルキージオがついに引退を発表しました。
彼は僕にとってユヴェントスを応援する上での青春そのものでした。
2001年からユヴェントスを好きになってからデビュー戦から引退まで追ってきた選手は僕にとって彼が初めてです。
今はボロボロになってしまったけど、僕の初任給で買った初めてのユニフォームはマルキージオのものでした。
当時は部屋に飾ってあるこの唯一のユニを見てニヤニヤしてたものです。
マルキージオのことを良く知らない方からするとユベンティーニが彼に熱狂する理由は類稀なルックス故と思われがちですが、違うんですね。
幼少期からこのクラブに加入して、誰よりもユヴェントスというクラブの理念を理解し、誰よりもユヴェントスの勝利、繁栄を願い、クラブを愛していたからこそ愛された選手なんです。
ユベンティーニにとって悪夢であり、思い出したくない過去であるカルチョポリに関しては忌むべき歴史ですが、今でもカルチョポリが前向きに捉えられる理由の一つはマルキージオのトップチーム定着です。
カルチョポリ以前は勝利至上主義のユヴェントスにあって、生え抜きのユース選手がトップチームに定着することはまずありませんでした。
そのような中、カルチョポリにより主力選手が流出していき、財政的にも貧窮する中でマルキージオのようなユース出身のイタリア人若手は貴重な戦力でした。
エンポリにレンタル出された後、呼び戻されたマルキージオでしたが、持ち前のインテリジェンスと献身的なハードワークでラニエリ監督の信頼を掴みレギュラーに定着。
ユース上がりの若手三銃士と呼ばれたマルキージオ、デチェリエ、ジョヴィンコの中でもメンタル面、インテリジェンス面で圧倒的に成熟しており、ラニエリ監督以降のデルネーリ、フェラーラといった監督の下においても監督に重宝された選手でした。
ただし、ボランチにしてはフィジカルが足りず、トップ下にしては得点力が足りず、サイドハーフとしてはバランサー的な役割で重宝されたものの、いずれのポジションにおいてもいまひとつ決定打にかけておりユーティリティプレーヤー故に器用貧乏になりかけ、いまひとつ突き抜けきれていない選手でもありました。
そんな時に同じ背番号の大先輩であるアントニオ・コンテが就任して以降は、3センターのメッザーラ(インサイドハーフ)に起用され大きな飛躍を遂げました。
2011/1 2シーズンのパルマとの開幕戦ではピルロからのロビングボールをアウトサイドダイレクトでねじ込むゴラッソに加え、第5節のミラン戦では持ち前の運動量を生かして当時のチャンピオンを圧倒し、ドッピエッタ(2得点)の大活躍。
あの勝利でチームが自信をつけたからこそ、6年ぶりのスクデット奪還が出来たんですね。
前シーズンに続き、12/13シーズンはMarchisio/Vidal/PirloのMVPトリオが運動量、インテリジェンス、得点力を生かしスクデット連覇に貢献。世界でも屈指の3センターだったと思います。
また13/14シーズンは怪物ポグバの加入により控えに追いやられてしまいますが、ここからがマルキージオの真骨頂。
どんなに不遇の状況に追いやられても持ち前のインテリジェンスでチームに貢献。14/15シーズンはレギュラーに返り咲き、MVPP(Marchisio/Vidal/Pogba/Pirlo)と呼ばれたユーヴェの歴史上でも屈指の中盤を形成しチームに貢献しました。
ピルロが負傷していた時期に、3センターの底に入った際は代役以上の輝きを見せていたと思います。
彼のベストゲームの一つであるドルトムントとの試合では中盤の王様そのもの。
中でもモラタのゴールの起点になったテヴェスへのパスは天上天下唯我独尊と思われたピルロの生き写しでした。
その後も決勝では当時理不尽トリオを揃えたバルサに破れはしたものの、モラタの同点後ゴールを生み出したリヒトシュタイナーへのヒールパスはユベンティーニの中でも語り草です。
翌2015/16シーズンもピルロの後釜として充実のシーズンを過ごしていた中、4月のパレルモ戦で左前十字靭帯を損傷。これが後々のキャリアに影を落とすことに。
16/17から17/18シーズンまで膝のコンディションが思わしくなく、度々離脱を繰り返し、出場機会を失っていきました。
来る18/19シーズン、ついにユヴェントス退団を決断。
ゼニトへ移籍することになりまました。
この時はマルキージオを手放したことに多くのユヴェティーニがクラブや監督の決断に失望したと思いますが、この決断は誰よりもクラブの勝利、繁栄を願うマルキージオだからこそ下した漢の決断だと思っています。
ゼニトに移籍してからもユヴェントスの試合を追っていた彼は本当に心からユヴェントスというクラブを愛していました。
ーマルキージオの凄さー
彼の凄さは何と言ってもそのインテリジェンスと不遇にもめげない不死鳥の如きメンタルに尽きると思います。ユヴェントスでのデビュー後、幾度となくレギュラー喪失の危機にあいましたが、結局はいずれの監督にもどこかしらのポジションで起用された選手でした。
異なる役割においても3~4試合もするとすんなりこなしていた抜群のセンスにおったまげ。
また中盤の選手の割にスーペルゴラッソの多い選手でもありました。
一方で、彼のインタビューにおいて、観客に見て欲しいプレーを聞かれた際に、「守備におけるディアゴナーレ(味方の斜め後ろへのポジション取り)」と答えていたのがとても印象的でした。
守備において派手なタックルをかます選手は守備への貢献がわかりやすいですが、本当にすごい選手は危機的な状況に対する予防的ポジショニングが優れそもそものピンチの状況を作らない事なんですね。
危ないスペースを事前に埋めていれば派手なタックルをかます必要はなく、安定した守備網を構築できる。マルキージオはまさにカルチョの真髄を理解、体現したプレーヤーでした。
本当は主役を張れる華やかな魅せる技術も持ち合わせている選手なのに、チームの勝利の為に地味でもあり泥臭いプレーに徹していた彼だからこそ、多くのユベンティーニの支持を集めていたのだと思います。
彼はどれだけ不遇の立場になっても一切クラブに対する不平不満を語ることはありませんでした。
代理人についても彼の父親が一括してマネージメント。
数多のビッグクラブからの誘惑にも動じずあくまでユーヴェ最優先の意志を貫き、代理人の父親の役割は他クラブからのオファーを門前払いするだけでした。
またチームが不調に陥った時も率先垂範で言い訳をする前にプレーで応える不言実行の選手。
これはデルピエロの背中を追っていたからこそでもあります。ロマンですね。
ーマルキージオのベストゴールTOP5ー
ここは個人の趣向で選定させていただきました。
第5位ー2008/2009フィオレンティーナ戦ー
憧れの大先輩アレッサンドロデルピエーロとゴールまでの道筋を完璧に共有したゴラッソです。
第4位ー2011/2012レッチェ戦ー
スクデット争いの佳境で生まれたピルロからマルキージオへのホットラインゴール。
実はこの試合は初めてユヴェントススタジアムで現地観戦した思い出の試合なんですね。その後、ブッフォンのトラップミスで同点で終わった苦い思い出のある試合ですが、マルキージオのゴールを生で見れたので満足です。(言い聞かせ)
第3位ー2011/2012パルマ戦ー
2年連続7位で終えた翌シーズン。不安とともに開幕戦を迎えたユベンティーニは少なくなかったと思います。そのような中、新スタジアムでの開幕戦で飛び出たスーペルゴラッソ。まるでフィオレンティーナ戦のデルピエロの伝説のゴールを彷彿とさせるアウトサイドダイレクトループ。新スタジアムとなりより身近になったサポーターに得点後駆け寄るシーン含めて、新時代の幕開けを予感させる最高のゴラッソでした。
第2位ー2011/12ミラン戦ー
不安とともに迎えたシーズン。前チャンピオンのミランとの試金石とも言える試合でしたが、蓋を開けてみればユヴェントスが運動量で前年王者を圧倒する出来。その中でも持ち前のダイナミズムを生かしたマルキージオのゴール。この後、ミドルシュートでドッピエッタを記録。シーズンの最初の分岐点となった試合でもあります。
この試合で自信をつけなかったら後の8連覇もなかったというくらい大事な試合でのゴラッソでした。
第1位ー2009/2010インテル戦ー
当時モウリーニョのもと圧倒的な戦力を誇るインテルに対して、前年7位に終わり圧倒的に勝つ見込みがなかった試合において、マルキージオが放ったこれまでのユベンティーニの鬱憤を晴らしてくれた会心の一撃でした。伝家の宝刀ダブルタッチはキレッキレでした。
結局シーズンは7位に終わってしまいましたが、この選手がクラブにいる限り未来はあると、苦しいユベンティーニの希望を繋いでくれたスーペルゴラッソでした。
ー本日の美女ー
今日はこれまでマルキージオのキャリアを支えてくださった奥様のRoberta Marchisioさん。
彼の偉大なキャリアの裏側には内助の功として支えてくれた奥様あってこそだったと思います。これからはイケメンな二人の息子とともにゆっくりと時間を過ごして欲しいです。ありがとうございました!
ー最後にー
マルキージオ、本当にこれまでのキャリアお疲れ様でした!
そしてありがとう!
あなたと過ごした時間は本当に幸せでした。
本当はもっとプレーしているところを見たかったですが、引退会見で見せた穏やかな顔を見ると彼なりにやりきったんだと、そう思います。
王子様の愛称で親しまれてたけど、いつしか貴方はユヴェントスには欠かせない王様だったと思います!
今後のキャリアに幸あれ!
Forza Claudio!